2014/3/30 京都FAカップ社会人部門 準々決勝 京都紫光クラブ対京都伏見蹴友会

紫光8-1(3-1)伏見(@西京極補助)

 

立ち上がりからほぼ一方的な紫光のゲーム。強風に煽られ思いの外曲がったCKが伏見DFのオウンゴールを誘ってあっさりと紫光が先制すると、更に簡単に篠部が立て続けに2点を奪い3-0。伏見は直後にセットプレーから山名が取り返して3-1とするも、紫光の水たまりの見られるピッチを苦にしない細かい繋ぎに翻弄され防戦一方。得意の細かい繋ぎもなかなか見せることが出来ないまま前半終了。

 

後半も紫光は技術のある中盤が細かいボール回しで主導権を握る。特に2トップの田中と篠部の主従関係が素晴らしく、篠部がDFラインの間を抜けようとするところに田中がピンポイントでパスを通してあっさりと抜け出す場面が何度見られただろうか。結局篠部の4得点をはじめ大量8得点で紫光が勝利を収めた。

 

伏見は紫光のテンポの早い中盤のパス回しと篠部の飛び出しに全く付いていけず失点を重ねた。攻撃もぬかるんだピッチに繋ぐサッカーが機能せず苦しんだ結果となった。攻撃の要であった日浦が紫光へ移籍し、三菱自工京都からポストプレーに定評のあるFW山名が入ったことで今年は従来の繋ぐサッカーから転換が見られるか気にはなるが、正直今日はそれを確認できるといった状況で無かった所は悔やまれた。

 

紫光は昨年以上に中盤から前で細かく繋ぐサッカーを展開していた印象。その中で起点となるのは今年から10番を背負うこととなった田中。自分が持っている京都のサッカーの印象の一つとしてあるのが、明らかな攻撃の要、所謂「天皇」が統べるサッカー。KYOKEN~BAMBの坂元や牧、ラランジャの江川、そして紫光でいえば三重野や種子田といった名前が次々と思い出されるが、その流れを汲む働きの片鱗をこの日の田中は見せていた。

 

そしてその先陣を切りDFラインを切り裂くのは篠部。スピードで圧倒するよりもタイミング、コース取りとスルーパスを受ける時のトラップの巧さで抜くタイプで、前にスペースが無くても活きる選手に見えた。彼の存在は今季関西2部のDFにとってはかなりの驚異になるだろう。守備陣もセットプレーからの失点はあったものの堅実な守備を見せ最後の局面は確実に抑えていた。関西2部では他チームよりも抜け出た補強を見せていたが、それらの選手は途中交代などが多くまだその出来については分からなかった。その戦力が今後どう噛み合ってくるのかも気になるところである。