2014/7/21 東日本社会人サッカー大会決勝 国体サッカー成年男子愛知県代表対福井県国体選抜

愛知代表4-3(2-0)福井選抜(@名古屋港サッカー場)

 

前半は愛知代表のペース。混成チームとは思えない呼吸の良さで前線に飛び出していく選手へ縦の速いボールを繰り出していく愛知代表に対し、福井選抜はなかなか上手く捕まえることが出来ずに2失点。更に愛知代表のチャージに対して福井選抜は2名が負傷し退く場面が見られるなど苦しい展開のまま後半へ。

 

後半に入り、前半のこともあってか愛知代表の当たりに少し緩さが見られるようになると展開は徐々に互角の様相に。そしてやや連携に甘さが見られた愛知代表の左サイドを福井選抜は見逃さない。右サイドから崩してほぼ同じ形で一気に3点を奪い逆転に成功する。しかし、ここから愛知代表は左SBの藤澤をボランチに移し、澁谷を左SBに入れると守備が安定し、福井選抜の攻めは一気に手詰まりに。

 

そしてここから愛知代表は中盤の鈴木が抜群のキープ力で福井選抜の守備陣を引きつけ、そこへフリーになった選手がボールを受ける形を作る。そして日下のゴールで追い付くと立て続けに秋田もゴールを決め逆転する。これで決まりかと思われた試合だったが、最後まで諦めない福井選抜はセットプレーでGKまで上がってゴールを目指す。そしてロスタイムPK奪取に成功する。

 

しかしこのPKを愛知代表のGK夏目がしっかりと読んで止めると同時にタイムアップの笛。二転三転した激戦は最後の大ピンチを凌いだ愛知代表が制し、東日本社会人サッカー大会優勝の栄冠を手にした。

 

愛知代表は名古屋SC、Chukyo univ.FC、トヨタ蹴球団を中心にFCマルヤス岡崎、FC刈谷コニカミノルタSC、豊田自動織機、FCラジル東三河、FC LEONEと本当に多くのクラブから選手が参加していたのだが、愛知の実業団系クラブの特徴と言えるFWが縦の速い上下動で裏を狙い勝負するというスタイルを共通言語のように使いこなし混成チームとは思えないくらいの組織的なサッカーを見せていた。この辺りは地域の持つサッカーの色が良い形で出ていたチームだったのかなと思う。

 

個人的なMOMはMFの鈴木。特に後半前線で全くボールを失わず、攻撃の起点として機能し続けたプレーは非常に印象的であった。また3点目逆サイドのサイドネットへインサイドのダイレクトボレーを叩き込んだ日下や、フリーでボールを受けると全く慌てずにGKの動きを見て決勝点を決めた秋田など上のカテゴリでの経験を十分に見せつけていた点も好印象であった。

 

対照的に福井選抜は今大会は全員サウルコス福井の選手で構成。昨年見た時同様サイドからシンプルに攻める形は変わらなかったところを見ると、今年もこのスタイルは継続していくのだろう。怪我人が出たのは愛知代表の当たりの強さもあるが、若干フィジカルの強さに不安が見られたのも事実。怪我の早期回復を願うと共に、フィジカル強化は課題となるのではないかとも感じた。正直もっと荒っぽいチームと全国で当たる可能性も否定出来ないのだから。

 

とはいえ、後半相手のウィークポイントをしっかりと突いて一気に畳みかけた勝負勘の良さは見事の一言。この辺りはこれまでの経験による監督を含めたチームとしての成長が窺えた。また、最後PKは止められたものの、タイムアップまで戦い抜いた点も好印象。そういえば帰り道にふと思い出したのだが、福井は昨年の長崎全社2回戦VONDS市原戦で、この日とは逆の立場で市原の諦めない攻撃の前に終了間際で同点に追い付かれた経験があったはず。(試合はその後延長で福井が勝利。)このようなかつての苦しい経験も厳しい場面で活かされたのではないかと考えると、しっかりこれまでの経験を積み上げていることを感じることが出来たし、この大会も収穫を手に出来たという点では意味のある大会になったのではないかと思う。