アニメ完走戦 〜夜ノヤッターマン〜

冬の完走戦、続いては夜のヤッターマン。ネタバレ含みなのでこれも隠しで。

 

 

これまでの作品の世界観をベースにドロンボーの末裔の視点で描かれる対ヤッターマンの物語と思ったら、途中で出会い旅路を共にする2人はどう見てもヤッターマンの血族。そしてヤッターマンにより築かれたディストピアと思われた世界の正体はドクロベーによって作られた世界だった・・・。この二転三転したストーリーの軸は非常に面白いものであったし、そこに繋がる細かい伏線をあちこちに張りつつきっちり回収して収めたのも好印象。終わってみれば良く出来た作品に仕上がった印象はあった。

 

惜しいのは中盤に1話完結の話が何本か組まれたところで話が停滞したところ。これがかつてのような長期シリーズであれば問題は無かったのだろうが、1クールという構成においては単なる中だるみに見えてしまった。しかもラスト2話の話の流れが急過ぎたことを考えると、あの話のうち1話を削ってラスト2話をもう少し掘り下げた方が良かったのではと思う。メインとなるストーリーはしっかり出来ていただけに、そこをもっと強調出来る構成にした方が全体としてもっと盛り上がったのではないかと。

 

キャスト勢は総じて安定した出来。キタエリも御前も嵌まってた。ドクロベーのキャスティングに関してはよみうりテレビ系列の悪い癖が出たということで。俳優などの声優起用でもそういう所があるんだけど、特徴的な声とか思い切って声を出している部分はそんなに違和感が無いのだが、そこから外れた普通の台詞の時に違和感が出る。どうせ設定としても時間経過による変化もあるわけだし、無理して滝口氏の声に合わさなくてもと思うのだが。

 

しかし思い返してみれば行き過ぎた管理社会の象徴たるディストピアの正体が実は独裁者による圧政だったと思うと、何が正しくて何が間違っているのかと考えさせられるものがある。そんなことを考える人はあんまりいないのかもしれないが。