2015/10/19 全国社会人サッカー選手権大会準々決勝 バンディオンセ加古川対東京23FC

加古川1-1(0-0、1-1、延前0-0、PK4-2)東京23(@盛岡南公園球技場A)
 
東京23はバックラインからボールを回しながら徐々に押し上げ、最後は人数をかけて選択肢を増やし、加古川バックラインに的を絞らせない狙いを見せる。これに対し加古川は今日もきっちりDFラインとボランチ2枚でブロックを作って守り、カウンターで決定機を伺う。この状況に東京23はなかなか最後のパスの出し所を見つけられず攻めあぐねる。ひたすらこのボール回しとカウンターの連続で40分が経過。前半は0-0で終了。
 
後半に入り東京23は一気に方針を転換。トップで構える飯島へロングボールをひたすら撃ち込んで力押しを見せる。それでも加古川の壁は崩れない。逆に加古川は60分、田中が右サイドを突破し、中央から押し上げてきたボランチ木村に渡す。そして右斜めから逆側のゴールネットに突き刺す豪快なミドルを打ち込み加古川が均衡を破る。後が無い東京23は73分に長身の小林を投入し、更にパワープレーを徹底するとすぐにロングボールからゴール前の混戦を最後は田村が押し込み同点に追い付く。このまま1-1で後半終了。試合は延長戦へ。
 
延長戦も放り込む東京23、それを耐えカウンターに賭ける加古川の図式は変わらず。しかし、両チームともあと一歩の場面まで行くが最後のラインは割らせない。そして息の詰まるような20分間が過ぎ、1-1で延長戦も終了。勝負の行方はPK戦に委ねられる。ここで勝負を決めたのは加古川の守護神日野。日野が2本完璧なストップを見せると、加古川はきっちりと4人がPKを決め、4-2で加古川が激戦を制し準決勝進出と地域決勝最後の切符を獲得した。
 
東京23の前半は正直かつて羽中田監督が奈良Cで見せたサッカーのリプレイを見ていたような心境になった。ボールは回すが最後の所でどう崩すかという形が見えない。だから押し上げることは出来ても最後の局面で迷ってしまい決定的な場面が作れない。あの時は途中で奈良を去ったのだが、1年間指揮をしてどうなるかという自分が持っていた問いに対する答えは、1年間でも時間は足りないというものであった。
 
しかし、後半に入ってそのサッカーをかなぐり捨てて現実的な策を採った点は注目すべき所だと考える。これが監督自身の方針だったのか、それとも別の理由だったかまでは分からない。ただ、それがあったからこそここまでの戦いが出来たのではないだろうかと自分は考える。来年どうなるかは分からないが、もし続投する場合には東京23のサッカーはどうなるのだろう。その答えを見る時は来るのだろうか。
 
一方の加古川はこの勝負駆けの試合でも全員がしっかりと落ち着いて戦術を徹底し、落ち着いてゲームに入っていたのが印象的であった。どれだけ相手が振り回しても簡単には釣り出されず、一転カウンターになれば斜めの動きを有効に使いながら素早く縦にボールを入れ攻める。これをぶれずに100分間集中して遂行した戦いぶりは見事の一言。そして最後のPKについても日野をはじめ全員が明らかに自信を持って臨んでいた。全社や地決は経験が物をいうとは良く言うが、この日の加古川はそれを体現するような戦いぶりであったと感じている。