2015/11/8 地域リーグ決勝大会1次ラウンド FC刈谷対松江シティFC

刈谷2-1(0-1)松江(@浜山公園陸上競技場

松江は実信と田平の2枚のボランチが縦に並び、前にいる実信から外に捌いて攻める。一方の刈谷は中野のポストを有効に使って縦に入れてから横への展開とバックラインからサイドを繋いで攻める形で応戦。やや松江優位の展開で進むと刈谷はGK山下が負傷で交代。プランの見直しを余儀無くされる。その直後の43分、松江はCKから砂川が頭で合わせて絶好の時間帯に先制点を奪うことに成功する。

後半そのまま逃げ切るかPK勝ちなら決勝ラウンドが決まる松江だったが、徐々に不要なファウルが目立ち始めると52分にセットプレーから安藤に決められ同点に追いつかれる。ここからこの試合も消耗戦の様相を呈してきて、押し込んでカウンターの繰り返しになってくる。ここで先に燃料が切れたのは松江。実信の戻りと田平の上がりが揃って遅れ出すと前線とバックラインが分断され、そのスペースを刈谷が支配し始める。

残り10分を切った辺りで他会場ではWC争いのボーダーが勝ち点6に届かないことが濃厚に。即ちそれは松江にとっては引き分けでPK関係無く決勝ラウンド進出になるという状況になったのだが、それ以上に大きかったのは元々7点差以上の勝利という絶望的な自力での進出条件だった刈谷が90分勝利で進出が叶うという状況に変化したことだった。そしてその奇跡の1点が刈谷の元に届けられる。84分、安藤が右サイドの裏を抜けるとそのまま持ち込んでゴールネットを揺らす値千金の一発。

松江も追い付けばまだもう一度決勝ラウンド進出を手繰り寄せることが出来るだけに必死の攻めを見せるが刈谷がそれを最後まで凌ぎ切りタイムアップ。刈谷が決勝ラウンド最後の切符を手にする勝利をもぎ取った。

刈谷はカウンター合戦になった時でも前線の中野と安藤の運動量が切れなかったのが非常に大きかった。この点については全社で3連戦を経験したのが確かに活きていたといえるだろう。また、サイドを軸とした組織的な組み立ては出来ていたが大石と中島の移籍後、一発で決め切れる前線がいないという印象があった刈谷だが、この2人がここにきてそこを埋める働きを見せている点も見逃せない。

また、荒れそうな試合の中で最後まで相手のペースに嵌らなかった大人の試合運びも光った。我慢してしっかりと試合に集中して臨んだ刈谷に対し、出雲に集った神様も少しだけ味方したのかもしれない。

松江については3日目にボランチの2人、特に実信の運動量が落ちてからどうなるのかが気になっていたのだが、結果としてはラインが間伸びして中盤の主導権を奪われていた。昨年も3日目に福井に負けて終戦した訳だが、そこから連戦に対する対処という課題をここも克服出来ていなかったということになる。

また、気になったのはプレーの荒さ。特に技術で刈谷の方がやた上回っていただけに、それを無理な当たりで解決しようとしていた印象は残った。その点をしっかりと取られるようになった後半、ファウルから自滅したところもあったのではとも感じている。来年に向けて明確な課題は積まれたままである。