2014/11/24 地域リーグ決勝大会決勝ラウンド 奈良クラブ対サウルコス福井

奈良C5ー1(1ー0)福井(@ゼットエーオリプリスタジアム

 
既に2位以内を確定している奈良Cは前線のスタメン2人を入れ替える。PK勝ち以上か2ー2以上での90での引き分けが必要な福井は、トップに長身の秋田を入れてきた。立ち上がりから福井は持ち味のサイド攻撃よりも、ターゲットとなる秋田への縦のボールを中心に早く敵陣へ迫ろうとする。奈良Cは福井の起点となるボランチ梅井に対し、馬場が高めに仕掛け出処を抑えつつ、こちらはサイドへ攻撃を仕掛ける。
 
まだ両チームともはっきりした突破口が見えないまま過ぎた35分、奈良C左CKの際、ゴール前で福井の秋田が肘を使っての危険なファウルで一発退場とPK献上。このPKを瀬里が蹴るも、福井GK伊藤が弾き返す。しかし、詰めてきた稲森が拾うと最後は瀬里が押し込み奈良Cが先制する。福井はこの日サイドに入っていた坂井が前線に入りゲームを作る形にして我慢する。そして前半は1ー0奈良Cリードで折り返し。
 
後半に入っても福井は次の手を打つタイミングを図ろうとしているのか動かず我慢を続ける。しかし67分小野のクロスから馬場がヘッドを決め2点目を奪われる。そして72分、やっとDFの平野、と原を下げ、近藤と神谷を一気に投入。梅井をセンターに置く3バックにして勝負に出たが、これが完全に裏目。悉く奈良Cのカウンターを食らい、74分、84分、86分と立て続けにゴールを奪われ崩壊。ロスタイムに畦地のミドルで1点を返すも5-1で試合終了。奈良Cは地域決勝優勝を手にし、福井は決勝ラウンド最下位という結果に終わった。
 
結果としてこの試合はあの一発退場で決まってしまった。ただ、あの退場後に福井はもっと早くリスクを負ってでも動く事が出来ればまた結果は違ったのではという思いもある。しかしそれはあくまで通常での話。そこに至るまでに福井が積み重ねてきた苦しい部分を鑑みるとそこまでの余力は残っていなかったのだろうなとも感じる。
 
福井にとってこれしか無いサイドアタックを敢えて捨てざるを得なかったこと、ロングボール要因及び攻撃のオプションとしての阿部を欠いていたこと、そして何より1しか積み上げる事が出来なかった勝ち点。考えてみれば最初からかなり後手を踏んだ中で踏ん張ろうとしていたともいえるのだろう。結果は4位。あのPK戦で勝っていればという思いもあると思う。ただ、この日足りなかった事を鑑み、これから何を積み上げていくのかを考え、また来年、今日奪えなかった勝ち点を取るために戻ってきて欲しい。
 
そして奈良Cはこの日も手詰まりの中、一発の好機をものにして自分達の流れを引き寄せた。その立役者は攻撃の起点となる馬場と、単調な攻撃を決定的な場面に変えるアクセントを付けられた小野の2人。この2人を止める事はこの日の福井では退場が無かったとしても難しかっただろう。その差は小さいようで非常に大きいものであった。
 
結局1年を通して中央を固めて守り、サイドへ早めに出すシステマチックかつ単調な戦いを貫き通した奈良Cがここまで辿り着く事が出来たのも、この2人と後方へのフォローを途切れる事無く出来る志水の3人がいたからこそ。この試合は最後にそれを再確認する事が出来た試合だとも言えるのだろう。