2016/7/31 JFLセカンドステージ第7節 FCマルヤス岡崎対ヴァンラーレ八戸

マルヤス1-1(0-0)八戸(@豊橋岩田運動公園球技場)
 
開始早々いきなり八戸は決定的な場面でヘッドを放つもマルヤスGK藤井の好守に阻まれる。更にCKからフリーで打ったシュートもマルヤス守備陣に阻まれ先制のチャンスを逃す。更にマルヤスは新井山を軸とした八戸のテンポの良いボール回しに全くついて行けず決定機を作られる。しかしこれをなんとか凌いだマルヤスは、前線に張るダ・シルヴァと鶴見への縦のボールから組み立てを図る。すると徐々に八戸のテンポに慣れてきたのか、八戸のショートパスを止めて逆にカウンターを繰り出す場面も見られ始め互角の展開に。そのまま0-0で前半を折り返す。
 
後半に入っても主導権をどちらも掴みきれないまま試合は進んだが、68分を境に試合は一気に動き出す。八戸は左CKからニアで成田が合わせ待望の先制点を奪う。マルヤスはレオジーニョを投入し追いつこうとするも直後の71分、安藤がこの日2枚目のイエローを貰い退場。マルヤスは失点に加え1人少ない状況となり追い込まれる事となる。しかしマルヤスはここからダ・シルヴァとレオジーニョの2枚を前線に残し、中盤左サイドを空けるような布陣に変更。左サイドのMFだった地主園をDFラインに下げつつも状況によって前線に送り込むことと、ボランチの田中や前線のレオジーニョが流れる事でこの空間を埋める方策に出る。そしてそれが上手く嵌まったのが80分、左サイドの波状攻撃から最後は田中のクロスにファーで待っていたダ・シルヴァがジャンピングボレーで合わせる驚愕の同点弾でマルヤスは1-1の同点に追いつく。
 
順位を考えるとどうしても勝ち点3が欲しい八戸は、直後の高見から李澤への交代をきっかけに長身の山﨑と佐々木の2人を前線に並べる。狙いはクロスからの一発、その発射台は右サイドバックの市川。マルヤスが空けざるを得なかった八戸右サイドのスペースでフリーになった市川が精度の高いアーリークロスを何度も打ち込み勝ち越し点を狙いに行く。マルヤスは防戦一方になりながらも2トップにボールを供給し虎視眈々とカウンターを狙う。しかし結局両者共に決め手の無いままタイムアップ。見所の多いゲームだったが結果は1-1の引き分けに終わった。
 
マルヤスは何よりもダ・シルヴァの加入が大収穫。前線で寄せられる、ポストもこなす、そして視野の広さとキックの精度が高い。むしろ彼のプレーのテンポにまだ他の選手が対応し切れていない場面が見られたのが課題と思える出来であった。あのシュートは出来すぎという見方もあるが、それだけの能力は秘めているということだろう。この出来をコンスタントに発揮出来ればかなり面白い事になりそうだ。また、10人になってからの選手の頑張りも素晴らしかった。特に左サイドをこれでもかと言わんばかりに上下動を繰り返した地主園の頑張りは特筆もの。また、ボランチの田中と大庭が運動量を切らさずに攻撃の際押し上げていった点も同点ゴールに結びついた大きな要因と思われる。一方で課題は2つ。まずは当然ではあるが、失点直後に軽率に2枚目のイエローを貰ってしまった安藤のプレーが挙げられるだろう。そしてもう1つはセットプレーでのマークの甘さ。失点シーン以外にも八戸の選手にフリーで打たせる場面は再三見られ、ある意味失点があの1回だけで済んで良かったと言えるくらい危険な場面は多かった。
 
八戸についてはまず八戸特有の膝下の高さでボールを繋ぐサッカーが見られた事が嬉しかった。ただ、最後の局面ではチームが入れ替わったのではと思うくらいに遠目のシュートやクロスからのボールが目立ったのが気になった。ゴール前であと一本ショートパスでずらせばシュートコースが開いたのではという場面もあっただけに余計にその思いは強くなったのかもしれない。また、後半終了間際に市川から2トップへのアーリークロスを徹底する方針に切り替えたあたりは、厳しい状況における戦術の引き出しもしっかり持っているのだという印象を受けた。八戸の課題は先述したゴール前での崩しの動きが欲しいという点と、人数の差を全く感じさせる事が出来なかった後半の運動量の落ち込み、特に1ボランチの岡田に対する負担の大きさが挙げられる。運動量に関しては気候の影響を原因と挙げられるかもしれないが、アウェーで暑い地域に行く事は避けられないだけにそれでも克服しないとならない課題であろう。