夏に向けての課題図書。

W杯が始まった訳ですが、この時期はサッカー関連書籍が増えてくる時期でもあったりして。せっかくなので最近読んだサッカー関連書籍をさらっと紹介します。現状は5冊ですが、今後増える可能性も。

2冊追加しました。(7/3) 

 

セルティック・ファンダム―グラスゴーにおけるサッカー文化と人種

セルティック・ファンダム―グラスゴーにおけるサッカー文化と人種

 

実際に購入したのは1年前で、なんとなく読まずに積んでいたのだが、先月アイルランドに行ったことをきっかけに読み始めた一冊。

グラスゴーの街を二分するセルティックとレンジャーズ。この両クラブのサポーターの有り様について、現地にてセルティック側の立場から取材を行い、その実態についての考察が詳細に記されている。歴史的に見れば歴史的な移民問題と宗教対立から始まるセクト主義が色濃く反映されてきた両クラブの対立構造。それは時を経るにつれイングランドスコットランドの関係性や人種問題にも発展し、単純なカトリックアイルランド移民とプロテスタントスコットランド人という二元的な構造からより複雑な対立構造へと変化を遂げている。だが、それも全ては緑と青の対立という単純な感情に包含されてしまう面もあって、この辺がいかにもサッカーと政治の関わりっぽくて面白い。

元々筆者の博士論文がベースとなっているので文章はかなり硬めだが、取材内容は深く掘り下げられており、グラスゴーというスコットランドの一都市が持つ政治的な難しさを知るには十分な内容。ただ、ここから北アイルランド紛争とかの方向に話を結びつけていく事を期待して読むと恐らく肩すかしを食らうと思われる。逆に150年余の年月によりスコットランドアイルランドはそれぞれの道を進んでいる事を感じさせられる内容だったと私自身は感じている。

 

東欧サッカークロニクル

東欧サッカークロニクル

 

ここからは自分のTLでも話題になっていた2冊。まずは1冊目の流れからサッカーから見える世界ということでこの本を選択。筆者の居住地であるクロアチアを中心に東欧、北欧のサッカーと文化に触れることの出来る一冊。それぞれ興味深い内容が多く非常に知識欲が刺激される内容となっている。

ただ、紹介されているそれぞれの内容についてはもう少し掘り下げられていてもという思いも残っている。恐らく筆者の経歴を鑑みてももっと深い話を持っているのは間違いないとは思うのだが、その疑問は巻末を見た瞬間に解決した。本作において最も面白かったのモルドバ沿ドニエストル)の他数カ国の記事は筆者が運営していたHPが初出であり、残る大半は雑誌記事が初出であったのだ。雑誌の中の限られたページ数では確かにこのくらいの掘り下げ方にならざるを得ないということなのだろう。

大したことも書けないライターにページ数を割くくらいなら、こういう方にページ数を割いていただけないものだろうか。サッカーマスコミの病巣ってライターだけじゃなくて採用する編集側にもあるということをこんな所で実感するとは思わなかった。

 

もう一冊はTLでも、というか日本中で話題になっていたこの本。

冷静に読んでみるとハリルホジッチ就任後から辞任に至る期間における世界のサッカーの潮流と、そこに対する日本代表としてのアプローチが記されている戦術書の色合いが強い。それだけに、解任という状況により加筆されたであろう部分の方が強調されるのは勿体ないとも思ってしまう。

では、その肝心の戦術書としての部分についてどうかといえば、モデルケースとなる試合を使って分かりやすく説明がなされており、ハリルホジッチ氏の目指そうとしていたと思われるサッカーへの理解は非常に深まった感触は得ている。ただ、ボールゲームとしてのサッカーの持つ特質の説明については、構成上浮いてしまっている上にそれまでの内容との繋がりが分かりにくかった点については不満が残った。

また、グループステージにおける対戦国へのアプローチが分析段階で止まってしまい、その解決策明確にならないまま宙ぶらりんになってしまったところは非常に残念である。恐らく筆者なりの推論はあったに違いないし、本来なら本大会で答え合わせをした上で改めて何らかの形で発表される筈だったでのではないだろうか。そう思うと解任の割を食った部分だったのかもしれない。

 

モダンサッカーの教科書 イタリア新世代コーチが教える未来のサッカー

モダンサッカーの教科書 イタリア新世代コーチが教える未来のサッカー

  • 作者: レナート・バルディ,片野道郎
  • 出版社/メーカー: ソル・メディア
  • 発売日: 2018/06/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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続いては戦術書にシフトしてこの一冊。現在はトリノで戦術解析専門のコーチ業を行うバルディ氏と在伊のジャーナリスト片野氏との対談形式により、最新のサッカー戦術について紹介する本。

先述の通り最新のサッカー事情について良く纏められており、特に守備と攻撃時において可変するシステムや予防的カバーリングについての考え方、モダンサッカーにおける5つの戦術的キーワードの部分については今からでも遅くないので一読しておくと、これからのグループリーグ、決勝ラウンドの観戦においてかなり有用だと思われる。また、同じ第2章のチーム分析のフレームワークはカテゴリを問わずチームを分析する際に使える考え方として纏められているので、実際に現場で試合を見てあれこれ分析をしなければならない方にはこちらもお薦めである。

他の部分についてもサッカーと向き合うにあたり有益となる情報が会話のあちこちにちりばめられており、まさしく「教科書」の名にふさわしい内容となっている。

 

詳しいことはわかりませんが、サッカーの守り方を教えてください

詳しいことはわかりませんが、サッカーの守り方を教えてください

 

最後はもう一冊、数日前に発売されたばかりの守備戦術書。松田浩氏といえば名著「サッカー守備戦術の教科書 超ゾーンディフェンス論」の著者であるが、今回はその入門編という位置付けの本となっている。言い方は悪いが、既に「サッカー守備戦術の教科書」を読んでいる人には全くお勧め出来ない。その代わり、まだ未読の人や読み始めたが分かりにくいと感じていた人はこちらの本から入ることをお薦めする。

また、これらの本を読んだ後に優れたゾーンディフェンスを敷いているチームの試合を見てみるとより理解が深まるかと思われるのでそちらもお薦めしたい。私が「サッカー守備戦術の教科書」を読んだ直後だと優勝した年のレスターが良いモデルケースとなっていたものであるが、今のW杯なら是非アイスランドの試合を戦術カメラのアングルで見るのが良いのではないだろうか。

 

  

消えたダービーマッチ~ベルファスト・セルティック物語~ (コスモブックス)

消えたダービーマッチ~ベルファスト・セルティック物語~ (コスモブックス)

  • 作者: 加藤康博
  • 出版社/メーカー: コスミック出版
  • 発売日: 2010/04/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • クリック: 19回
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実は1冊目に紹介したセルティック・ファンダムのリンクを貼ろうとした時に、たまたまアマゾンの検索で引っかかった本でした。思わずすぐに購入して読んだ訳ですが、セルティック・ファンダムがグラスゴーにて独自に変容していったセルティックとレンジャーズの対立構造を深掘りしていく書であったのに対し、この本はダイレクトに北アイルランドにおけるカトリックプロテスタントナショナリストユニオニストの対立構造と、その中である事件をきっかけに消滅したベルファストセルティックというクラブを中心とした北アイルランドのサッカー文化と歴史を軸に構成されている。

出版されたのは8年前であり、その後北アイルランド代表はEUROにも出場するなど時代は流れているのだが、その現在に繋がる歴史は十分に窺い知る事が出来た。それもIFAとFAIというアイルランド島に存在する2つのサッカー協会の成り立ちやゲーリックゲームズとの共存に伴う所謂「ルール42問題」など押さえるべき事柄がきっちり押さえられていたからに他ならない。

勿論グラスゴーセルティックにも言及している部分もあるので、セルティック・ファンダムとセットで読む事をお薦めしたい。

 

 

ディス・イズ・ザ・デイ

ディス・イズ・ザ・デイ

 

こちらはTLにて盛り上がっていた一冊。22チームで構成される2部リーグの最終節、全試合同時キックオフ。その11試合に関わる22チームのサポーター達の日常の一欠片を取り出した短編集。昇格と降格が入り乱れ、集う人々の熱気はあるがどこか長閑なスタンド、世間からの目線もあるようでない。この2部という舞台設定の絶妙さ。まずその一点だけでも素晴らしいものがある。

個人的には鯖江対倉敷、川越対桜島あたりが好きだが、恐らくこれは読んだ人で完全に意見が分かれると思う。それくらいどの話もどこかで誰かの琴線に触れる面白さや共感めいたものがある。そして自分がこの本の最大の魅力だと思ったのは、これが最終節同時キックオフだということ。つまり、話が進むにつれて徐々にぼやけていた輪郭が鮮明になってきて、それ故に見えてくるものと向き合いつつ結末を読み進めることになる。その感覚が妙に面白かったのだ。

リアルな戦術論や政治の話を読むのに疲れたら、いや、そうでなくても是非とも手にとっていただきたい。そんな一冊である。

 

 

 

 

 

 

都市対抗野球東海2次予選における一考察。

どうもご無沙汰しております。

久々のブログが何故か社会人野球ネタで非常に申し訳ない管理人です。(苦笑)

毎年複雑怪奇なトーナメント表を提供してその筋の方々の関心を一手に集める都市対抗野球東海2次予選

現在進行中のトーナメントは↓のとおり。

http://www.jaba.or.jp/taikai/2018/toshitaikou/pdf/tokai_2.pdf

 

それではこのトーナメント表が実際のところどこを気にして結果を見ていけば良いのかを少し考えてみました。

以下のテキストは、第1~第6の各代表になる為に必要な勝敗を示しています。数字の横の文字は各トーナメントでの配置、()内の文字は、その前のトーナメントでどこに配置されていたかを示しています。また、※以下で以前のトーナメントでどのような成績だったかを一部注釈として記載しています。

 

 

第1代表
4-0

 

第2代表
4-1

 

第3代表
4-1

 

第4代表
ヌネ 5-2
タ 4-2
チ 4-2
※第1代表トーナメントベスト4は4-2、第3代表トーナメントベスト4は5-2

 

第5代表
ノ 4-2
フ (ヌネ)5-3 (タチ)4-3
※第1代表トーナメントベスト4は4-3、第3代表トーナメント準優勝は4-2、第3代表トーナメントベスト4は5-3

 

第6代表
へ (ノ)4-3 (ヌネ)5-4 (タチ)4-4
※第1代表トーナメントベスト4は4-4、第3代表トーナメント準優勝は4-3、第3代表トーナメントベスト4は5-4
ヒ (タ)5-3 (ヌネ)6-3
※第1代表トーナメントベスト4は5-3、第3代表トーナメントベスト4は6-3
ツ4-2
※第1代表、第3代表トーナメント2連敗(1次予選組がいない①~④のブロック)
トテナニ5-2
※第3代表トーナメント2回戦敗退
ハ6-4
※第3代表トーナメントベスト4(その中でも4位の成績)

 

こうして見ると、以下のことが見えてきます。

・第1代表トーナメントでベスト4と2回戦敗退以下(第3代表トーナメント回り)では各代表になる為に必要な貯金は前者の方が1少ないため有利。場合によっては5分の星でも代表になることも出来る。ここがまず大きな分岐点。
・実はベスト4まで行くと準決勝で負けても決勝で負けても大きな差は無い。
・それは第3代表トーナメントでも似た傾向がある。ベスト4まで行くと貯金2で代表になる事は可能だが、2回戦で負けると最終的に貯金3が必要。
・唯一の例外は1次予選組がいないブロック。ここは実は貯金2で代表になることは可能。更に言うと、先に勝ったのに、第3代表トーナメントの2回戦で負けると貯金3が必要になり、条件としては逆転する恐れがある。

 

こうして見ると、思ったよりも考えて作られたトーナメントですが、若干穴もあるのかなという印象です。

 

何はともあれ、社会人野球好きとしては、まずは昨日から始まった第1代表トーナメントの2回戦が大きな意味を持つと言うことになります。当面はこの2回戦4試合に注目しましょう。

 

2017/3/19 JFLファーストステージ第3節 FCマルヤス岡崎対ソニー仙台FC

S仙台5-4(2-2)マルヤス(@名古屋港サッカー場

 

6分、右サイドの杉本から上がったクロスをファーで盛礼良が落とし、そのボールを中央で詰めていた佐野がダイビングヘッドで押し込みマルヤスがいきなり先制点を奪う。これが乱戦の号砲となった。風下のS仙台はラインコントロールが不安定なマルヤスDFラインの裏を低く速いボールで狙っていく。すると15分に左サイドの裏を抜け出した藤原がそのままゴールを奪い同点。更に23分、今度は左サイドからのクロスボールに対し、ゴール前中央で上手く身体を入れ替えて抜けた内野が流し込み逆転に成功。なおもS仙台が押す展開となったが、マルヤスは44分に一瞬の隙を突きオーバーラップした左SB安藤が裏を抜けると折り返しから最後は盛礼良が押し込んで2-2と追いつき前半終了。

 

風向きが変わって後半、S仙台は58分にまたも左サイドの裏抜けから最後は逆サイドに展開し秋元がゴールを奪い3-2と突き放す。しかしマルヤスも外からの攻めでなんとかCKを拾うと69分に熊澤のヘッドでもう一度3-3に追いつく。そして81分、今度は逆側のCKから全く同じような形で熊澤のヘッドがゴールネットを揺らし、マルヤスが4-3と再逆転に成功する。このまま逃げ切りたいマルヤスだったが、交代選手のスピードが効果的に働いたS仙台の攻めに対し防戦一方に。そして85分、S仙台右サイドからの攻めにマルヤスは不用意なファウルを犯してFKを与える。S仙台はこのチャンスを逃さずゴール前混戦から吉田が押し込み4-4の同点に。


そして4分提示されていたATの4分が経過しようとしたところでS仙台は右サイドのCKを獲得。最後のチャンスに放たれた冨沢のボールは強風に流されながら曲がりそのままゴールへ。これが劇的な決勝ゴールとなり、逆転する事三度、0-0から4-4まで五度のタイスコアが発生する大熱戦となったこの試合は5-4でS仙台の勝利となった。

 

マルヤスは押された試合の中で効率良く点は奪えたと思う。ただDFラインのコントロール、特に3-4-3で来たS仙台の両翼が上がった際の対応が統一されずにDFの横の間隔が開いてしまったことと、単純に縦のギャップが生まれてオフサイドが奪えなかったことという縦横両方の面で悪さが出てしまった。また、攻撃でもサイドからの攻撃は効果的に働く場面があったが両サイドハーフの杉本、地主園の両者が攻めでボールに絡む部分が少なかったのも苦しかった。その一因として、盛礼良がサイドに流れすぎてしまう点も気になったところ。出来れば盛礼良がもっと中央で構える形が欲しかった。

 

そんな中でも良さが見えたのは熊澤と安藤。熊澤はCKからの2点は上手くマークを外してのゴールであったし、守備でもボランチの相方が不安定な出来だった中孤軍奮闘した印象がある。安藤は激しい上下動を繰り返してなんとか左サイドを制圧されないように奮闘していた。

 

S仙台とすればあれだけ裏を取れればもっと楽に勝てたようにも思うが、セットプレーを含む球際の守備に課題が残ったように感じた。3バックなので多少なりともサイドの深いところはやられるとすればもう少し中央で頑張らないと守備が安定しないのではと感じた。

 

攻撃の部分では中盤で組み立て役となった新加入の菅井が印象に残った。基本縦に速く裏を取りに行くS仙台の攻めにおいて、中盤で彼がボールを持つと八戸で培われたと思われるショートパスで攻撃のリズムが変わるのが明らかに分かった。攻撃の狙いを絞らせないという点において、今後のS仙台の攻撃における鍵を握る選手になるのではないだろうか。

 

2017/2/12 奈良県選手権社会人代表決定戦決勝 ディアブロッサ奈良対大和クラブ

D奈良0-0(0-0、0-0、0-0、PK3-1)大和(@奈良県フットボールセンター)

 

試合は一進一退の展開。サイドから崩しに行くD奈良に対し、大和は奪ってからその裏を早めに突いてゴールを狙う。両チームともチャンスはあるがD奈良は最後の局面に行くまでに潰される状況、一方の大和は大事な場面でプレーに精度を欠きフィニッシュまで至らない。そのまま0-0で前半終了。

 

後半も似たような展開が続くが、D奈良がFWにポストの出来る布施を投入したあたりから中央からの攻めも見せ始める。しかしゴール前のでの細かいパスが繋がらず逆にカウンターを受ける場面も。大和も切り替えの速さを生かしてゴール前に迫るがゴールには至らず。結局後半も0-0。更に延長も0-0のまま試合はPK戦へ。

 

ここで全員決めたD奈良に対し、大和は延長の最後に交代で入ったD奈良GK菊谷に1本止められ、更に2人が外して万事休す。D奈良がPK戦までもつれ込んだ試合に勝ち社会人代表として奈良県選手権本戦に駒を進めた。

 

今季初めての試合となったD奈良、府県決勝からこの大会のトーナメントとずっと戦いが続いていた大和。その試合勘や調整の面で大和の方が上回っていた。ただ、ここで決定的な形になると感じた場面でパスの精度が伴わずにふいにした事が何度もあったのも事実。こういう精度の差こそがカテゴリの差と言えるのかもしれない。ある意味D奈良は助けられた部分も多かった。とはいえ、結果が最優先とも言えるトーナメントで土俵を割らなかった事が何よりも大きかった試合といえよう。

 

2017/1/22 関西リーグ入れ替え戦 関学クラブ対関大クラブ2010

関大ク3-2(2-1)関学ク(@フレスカ第2グラウンド)

 

寒さに加え暴風と雨という厳しいコンディションの中となったこの試合、先制点は関大クが奪う。14分、左サイドの裏を抜けて折り返しに平井が合わせる。風上になる関大クはなおも猛攻を繰り広げるも、逆に43分に関学クのセットプレーからゴール前で選手を倒してPKを献上し、1-1に追いつかれる。しかし前半終了間際、関大クは高い位置でボールを奪い右サイドのクロスから石黒が押し込み良い時間で2-1と突き放して前半終了。

 

後半10分、関大クは相手のクリアミスを拾って西口が追加点となる3点目を奪う。3-1で関大クの優位は広がったが、エンドが変わって風上と風下が入れ替わった効果が
徐々にピッチに現れ始め、関学クの反撃がここから始まる。20分にはFKから最後は下村が押し込み1点差に追いつくと、更に追いかけるべく前線へボールを送る関学クとそれを跳ね返す関大クという展開。しかし次の1点は生まれずそのまま関大クが3-2で逃げ切り勝利。関大クの関西2部昇格が決まると同時に、関学クの兵庫県リーグへの降格が決定した。

 

結論から言えば試合間隔の差が勝負の明暗を分けた大きな要因になった試合と感じている。関学の失点についてだが、1点目は関大クが府県決勝の決勝で何度も見せていた形。これを封じる手立てを本来なら準備しておかねばならなかったはず。しかし、立ち上がりの関学クは関大クの攻めに対しての注意が不足していた。更に2、3点目はいずれも致命的なゾーンでのミスから。もう少し試合間隔が短く、試合に対する緊張感が続いていればと思う面は否めなかった。

 

逆に言えば関大クはその関学クのミスを確実に点に結びつけたとも言える。この辺も直前まで厳しい試合を続けていたことがプラスに働いた部分は大いにあったのではないだろうか。

 

2017/1/8 関西府県リーグ決勝大会 決勝 FC EASY02対関大クラブ2010

EASY1-1(1-1、PK5-4)関大ク(@ヤンマースタジアム長居

 

開始早々不安定なEASYのDFラインをに対し関大クは左サイドの裏を何度か抜けてチャンスを作る。しかし先制はEASY。8分にフリーキックから小林が押し込んでゴールを奪う。返す刀で18分に関大クも左から仕掛けたところをエリア内で倒されPK奪取。これを中村がきっちり決めて1-1の同点。そのまま前半は1-1で折り返し。

 

後半に入っても攻める関大クにカウンターで合わせるEASYの図式。EASYは何度かピンチを招くも、この日はGK清水が好調で何度となく決定的な場面を防ぐ活躍もありスコアは動かない。結局後半を1-1のままで終え試合はPK戦へ。先にリードするも、5人目を外して追い付かれたEASYだったが関大クの6人目を清水が止めてEASYが府県決勝の優勝と来年の関西2部昇格を決めた。

 

PKについてはGKの出来の差がそのまま結果に出たという印象。それを除けば、EASYの方が自分たちの良さと悪さを把握して出来ることをしっかりやりきった試合だったと感じている。全社1回戦の決勝点もCKとFKの違いはあれど得点はセットプレーから。橘の正確なプレースキックを得点源にするという意識はチームで共有されていたように思われる。また、苦しい時間帯も人数をかけてしっかり守ることは徹底出来ていた。全社で得た経験は確実にこの試合にも反映されていたと思わせる戦いぶりといえよう。

 

関大クとしては決定機の数は多かっただけに、90分で仕留めたかったというのが本音だったのではなかろうか。ただ、そのために後半もう一押しする為の運動量と選手層は
足りなかったのかなとも感じている。その意味ではPK戦になった時点で勝負は見えていたのかもしれない。

 

2016/12/17 The KSL Cup 決勝 阪南大クラブ対AS. Laranja Kyoto

阪南大ク1-1(1-0、PK4-3)ラランジャ(@キンチョウスタジアム

前半5分にいきなり阪南大クは中央からの攻めを生かして最後は三木が決めて先制する。そのまま試合は阪南大クが主導権を握る展開。前線がスピードのあるドリブルを
絡めながらサイドを突いて何度もチャンスを生み出していく。ラランジャは中尾を中心とした守りからカウンターとなるがなかなか突破口が見出せない。

 

後半に入っても大きな流れは変わらないまま時間は流れていく。このまま逃げ切りが濃厚となった後半ロスタイム、事件は起こる。最後にGKを替えようとする阪南大ク、その交代選手が待機中に吉森が2枚目のイエローで退場となる。それでもGKを交代させたのだが、直後のセットプレーでラランジャ辻元に押し込まれ、同点に追い付かれることとなった。

 

試合は1-1でPK戦へ突入。ラランジャはGK辰巳が1本止めたものの、その後2本枠を外してしまい結果は4-3で阪南大クが勝利。カップ戦優勝を決めた。

 

この試合についてはロスタイムからの一連の流れについて少し触れておきたい。正直この交代にどのような意図があったかについては自分には分からない。ただ、1点差のあのタイミングでGKを替えるというのはどう考えてもやってはいけない事だったと考える。それはもし直後のセットプレーを凌いでいたとしてもだ。

 

実際のところPK戦において阪南大クGK小川の状態は明らかに悪かった。特に4本目の甘いコースのボールを同じ方向に飛んでいたにもかかわらず為す術無く逃した時には、枠にさえ入れれば大丈夫とすら思えていた。恐らくGK辰巳は小川の状態に気付いていたのだろう。1本止めた時に必要以上に盛り上げ小川にプレッシャーをかけて優位にPK戦を進めようと試みようとしていたのは印象的であった。しかしラランジャのキッカーはこの好機を生かせなかった。気付かなかったのか、気付いていたがそれでもミスをしてしまったのか。真相は分からないが、個人的には悔やまれるPK戦だと感じた一戦であった。