2016/9/11 関西サッカーリーグ第12節 ディアブロッサ奈良対St. Andrew's FC

D奈良4ー2(2ー1)Andrew's(@水口陸上)

 

この日はカウンターでのサイドからの攻めが上手く機能したD奈良、まずは6分に右サイド椿本の折り返しに山本が飛び込み先制。更に16分には右サイド中室からのアーリークロスを椿本が頭で合わせ2ー0。すぐさまAndrew'sもセットプレーから最後は渡邊が押し込んで1点差に。このまま終わるかに見えたロスタイム、山本のシュートの跳ね返りを椿本が頭で押し込み3ー1とリードを広げて前半を折り返す。

 

後半もD奈良のカウンターは威力を失わない。65分には左サイドを抜けた新家のクロスに椿本ファーの角度が無いところから見事なダイレクトボレーを決めてハットトリック。Andrew'sは80分に青山のゴールで反撃するもここまで。D奈良が4-2で快勝し昇格戦線に生き残った。

 

この日はD奈良の強かさが目立った。きっちりと2本のラインが組織的に動き、奪ってから一気にテンポを上げ縦に速いボールを送り込みゴール前に迫る。その戦いぶりは完全にAndrew'sを圧倒していた。そして、ここまでゴールに嫌われることの多かった椿本がこの日は大爆発。4点目のダイレクトボレーは是非とも映像で抑えていて欲しかった素晴らしいゴールであった。

 

一方Andrew'sはD奈良の粘り強い守備の前にボールの出し所を失い、守っては弱点のラインコントロールの拙さをD奈良のサイドアタッカーに突かれ失点を重ねた。2点は返したものの内容としては完敗と言える内容であった。

 

2016/7/31 JFLセカンドステージ第7節 FCマルヤス岡崎対ヴァンラーレ八戸

マルヤス1-1(0-0)八戸(@豊橋岩田運動公園球技場)
 
開始早々いきなり八戸は決定的な場面でヘッドを放つもマルヤスGK藤井の好守に阻まれる。更にCKからフリーで打ったシュートもマルヤス守備陣に阻まれ先制のチャンスを逃す。更にマルヤスは新井山を軸とした八戸のテンポの良いボール回しに全くついて行けず決定機を作られる。しかしこれをなんとか凌いだマルヤスは、前線に張るダ・シルヴァと鶴見への縦のボールから組み立てを図る。すると徐々に八戸のテンポに慣れてきたのか、八戸のショートパスを止めて逆にカウンターを繰り出す場面も見られ始め互角の展開に。そのまま0-0で前半を折り返す。
 
後半に入っても主導権をどちらも掴みきれないまま試合は進んだが、68分を境に試合は一気に動き出す。八戸は左CKからニアで成田が合わせ待望の先制点を奪う。マルヤスはレオジーニョを投入し追いつこうとするも直後の71分、安藤がこの日2枚目のイエローを貰い退場。マルヤスは失点に加え1人少ない状況となり追い込まれる事となる。しかしマルヤスはここからダ・シルヴァとレオジーニョの2枚を前線に残し、中盤左サイドを空けるような布陣に変更。左サイドのMFだった地主園をDFラインに下げつつも状況によって前線に送り込むことと、ボランチの田中や前線のレオジーニョが流れる事でこの空間を埋める方策に出る。そしてそれが上手く嵌まったのが80分、左サイドの波状攻撃から最後は田中のクロスにファーで待っていたダ・シルヴァがジャンピングボレーで合わせる驚愕の同点弾でマルヤスは1-1の同点に追いつく。
 
順位を考えるとどうしても勝ち点3が欲しい八戸は、直後の高見から李澤への交代をきっかけに長身の山﨑と佐々木の2人を前線に並べる。狙いはクロスからの一発、その発射台は右サイドバックの市川。マルヤスが空けざるを得なかった八戸右サイドのスペースでフリーになった市川が精度の高いアーリークロスを何度も打ち込み勝ち越し点を狙いに行く。マルヤスは防戦一方になりながらも2トップにボールを供給し虎視眈々とカウンターを狙う。しかし結局両者共に決め手の無いままタイムアップ。見所の多いゲームだったが結果は1-1の引き分けに終わった。
 
マルヤスは何よりもダ・シルヴァの加入が大収穫。前線で寄せられる、ポストもこなす、そして視野の広さとキックの精度が高い。むしろ彼のプレーのテンポにまだ他の選手が対応し切れていない場面が見られたのが課題と思える出来であった。あのシュートは出来すぎという見方もあるが、それだけの能力は秘めているということだろう。この出来をコンスタントに発揮出来ればかなり面白い事になりそうだ。また、10人になってからの選手の頑張りも素晴らしかった。特に左サイドをこれでもかと言わんばかりに上下動を繰り返した地主園の頑張りは特筆もの。また、ボランチの田中と大庭が運動量を切らさずに攻撃の際押し上げていった点も同点ゴールに結びついた大きな要因と思われる。一方で課題は2つ。まずは当然ではあるが、失点直後に軽率に2枚目のイエローを貰ってしまった安藤のプレーが挙げられるだろう。そしてもう1つはセットプレーでのマークの甘さ。失点シーン以外にも八戸の選手にフリーで打たせる場面は再三見られ、ある意味失点があの1回だけで済んで良かったと言えるくらい危険な場面は多かった。
 
八戸についてはまず八戸特有の膝下の高さでボールを繋ぐサッカーが見られた事が嬉しかった。ただ、最後の局面ではチームが入れ替わったのではと思うくらいに遠目のシュートやクロスからのボールが目立ったのが気になった。ゴール前であと一本ショートパスでずらせばシュートコースが開いたのではという場面もあっただけに余計にその思いは強くなったのかもしれない。また、後半終了間際に市川から2トップへのアーリークロスを徹底する方針に切り替えたあたりは、厳しい状況における戦術の引き出しもしっかり持っているのだという印象を受けた。八戸の課題は先述したゴール前での崩しの動きが欲しいという点と、人数の差を全く感じさせる事が出来なかった後半の運動量の落ち込み、特に1ボランチの岡田に対する負担の大きさが挙げられる。運動量に関しては気候の影響を原因と挙げられるかもしれないが、アウェーで暑い地域に行く事は避けられないだけにそれでも克服しないとならない課題であろう。
 

2016/7/18 奈良県選手権準決勝 ディアブロッサ奈良対天理大学サッカー部

D奈良0-4(0-1)天理大(@奈良県フットボールセンター)
 
序盤テクニックで上回るD奈良が両サイドから攻めを見せるも、徐々に天理大が中央の縦のボールから外の裏を狙う形で対抗。そして天理大はギリギリのタイミングで右サイドを抜け出すと、折り返しをファーサイドで合わせて先制点を奪う。すぐに取り返したいD奈良だったが徐々に攻めが繋がらなくなる。更に左サイドの鬼岩がゴール前ヘディングに行こうとしたところを天理大の八倉と交錯し倒れ込み、そのまま負傷交代となるアクシデントも発生。不穏な空気のまま前半は0-1天理大リードでの折り返し。
 
後半に入り天理大は縦の単純な裏狙いに攻めを切り替えるとこれが上手く嵌まり、D奈良GKと守備陣の連携ミスを突いて2-0と広げる。D奈良も縦のボールを放り込み打開を図ろうとするが、逆に天理大のカウンターを受け更に2失点。最終的には4-0で試合終了。天理大が奈良県選手権決勝へと駒を進めた。
 
最後の2失点はトーナメントであるが故に攻めに行った結果とすれば、それまでの2失点を如何に防げたかがD奈良としては課題であろう。特に先制点については微妙なオフサイドの判定ではあったが、そこでDFラインが足を止めてしまった点が痛かった。この点については個人的にも声を出す判断が遅れたという反省があったのだが、そこについては主題とは異なるのでここまでとしておきたい。また、D奈良とすれば先制された時の戦い方の難しさを再認識する試合となったように思われる。この点も今後の昇格争いにおいて鍵を握る課題になるかと感じられた。
 
天理大は前後半で攻め手を切り替えてくるなど戦術の浸透は出来ているチームであると実感出来た点は収穫。個のフィジカルや技術を上げていくことで更にチームとしての質は上がっていけるのではと感じている。
 

2016/7/10 関西サッカーリーグ第11節 ディアブロッサ奈良対高砂ミネイロFC

D奈良3-2(2-0)高砂(@高砂陸上)
 
この日はいつものこの対戦とは対照的に、前線で細かく攻める高砂に対してD奈良が長いボールを入れて対抗。9分にはDFの裏を抜けた新家が倒されPK奪取、これを細川堅が冷静に決めてD奈良が先制。更に31分今度はカウンターから縦のボールを椿本がダイレクトのヘッドでDFラインの裏に通すと、そこに抜けてきた新家が絶妙のタイミングで受けてゴールを奪い2-0。途中GK吉田がゴール前のアクシデントで負傷交代する場面があったが、D奈良が流れを掴んだまま2-0で前半終了。
 
後半に入って早々の50分、またもD奈良は新家が縦に抜け出し3-0とリードを広げる。更に何度か決定機を掴むもそこからは点を奪えず試合は終盤へ。高砂は諦めずに前線の選手を替え前線の運動量を維持する戦いを見せると、ここから状況は一変する。まず70分にサイドから崩して岡本が1点を返すと、更に89分にも柏木が決めて1点差に迫る。ロスタイムも攻めを見せた高砂だったがD奈良守備陣もなんとか凌いで試合終了。D奈良が3-2で逃げ切り昇格争いのために大事な勝ち点3を確保した。
 
高砂としては守備陣がロングボールに対する対処に苦慮した点は想定外だったのかもしれない。後半途中までは何度もロングボールが頭を越え、裏をD奈良攻撃陣に突かれる場面が見られた。ここを早めに修正出来ていれば、後半の追い上げを考えると結果はまた違っていたかもしれない。それくらい最後の追い上げは見事なものであったし、柏木、吉田といった技術に長けた選手が見せる攻撃は見応えがあった。それを許したD奈良の反省点としては勿論終盤の戦い方であろう。中断明け3試合、この部分を如何に克服するかが鍵を握ってくるだろう。
 

2016/7/3 関西サッカーリーグ第10節 ディアブロッサ奈良対AS. Laranja Kyoto

D奈良2-1(1-0)ラランジャ(@新庄第一健民G)
 
立ち上がり8分、D奈良はラランジャのクリアミスを拾った新家がそのまま持ち込み先制点を奪う。そこからは一進一退。ラランジャは左サイドバックの杉山が高い位置に張って攻めることにより、D奈良の攻撃の起点となる右MF椿本のポジションを下げさせる。それでも椿本は激しい上下動と一発のドリブルで好機を演出しゴールに迫る。見応えのあるサイドの攻防もなかなか点には結びつかず前半は1-0でD奈良リードで終了。
 
後半に入りラランジャは美里を軸にショートパスでD奈良の守備をずらしシュートまで持ち込む場面が増える。D奈良はカウンター狙いでラランジャDFの裏を狙っていくも流れはラランジャ。そして65分、右サイド遠目のFKから松本が押し込み同点に追いつく。ここから30℃を軽く超える暑さの影響か両チームともシンプルな攻めへとシフトしていく。D奈良は新家が抜け出してGKを引きつけフリーの椿本へラストパスを出すもシュートは枠の外。一方ラランジャもあと一歩まで迫るがシュートをギリギリでクリアされ決勝点を奪えない。引き分けも視野に入ってきた88分、中央を抜け出したのはD奈良の山本。そのままDFを振り切り冷静にゴールへボールを送り込みこれが決勝点。D奈良が昇格争いにおいて絶対に必要であった勝ち点3をギリギリで奪い取った。
 
この日にの試合については消耗戦になるのは間違いなかっただけに鍵を握るのは最初の10分と試合前から思っていた。終盤リードしていれば消耗戦においても気持ちを持たせる事は出来るだけに、早い時間帯の得点は最重要事項だと考えていたからなのだが、結果勝利を収めたのはその時間帯に先に得点を奪ったD奈良であった。この点は試合の入り方としてミスをしてしまったラランジャは反省点となるだろうし、このミスを見逃さなかった新家を褒めるべきだろう。その後の展開は互角だっただけに余計試合の入り方の差が際立つ結果となってしまった。
 
また、最後の最後で奪った決勝点は途中交代の山本が奪ったゴールだったのだが、この時間帯でも動けるストライカーを温存して投入したベンチワークも見逃せない。ただここについては、交代投入が1人だけで試合を終えたラランジャの采配が少し気にもなっている。交代選手を出さなかったのか、それとも出せなかったのか。
 

2016/6/25 関西サッカーリーグ第9節 ディアブロッサ奈良対FC TIAMO枚方

D奈良0-6(0-2)枚方(@鶴見緑地球技場
 
序盤から枚方ペースでの試合。サイドに高い位置で構える浅井、木田が裏に抜けるたりドリブルで縦に入ったりするプレーをD奈良守備陣は止めきれない。それでも我慢してきたD奈良だったが、28分に左サイドを崩され中央で木田に決められると、32分にも木田に決められ一気に2失点。そのまま枚方のペースで前半は2-0枚方リードで終了。
 
後半に入って流れがどうなるかと思われた開始直後、枚方はカウンターから右サイドを攻め岡田が3点目を奪う。これで一気に崩れたD奈良に対し枚方は攻めの手を緩めない。55分には浅井が4点目を奪う。79分に藤代が2枚目のイエローで退場となるも状況は変わらず、終了間際の86分には加藤、88分には木田がハットトリックを達成し大量6得点で試合終了。枚方が昇格争いのライバルとなるD奈良相手に6-0と大勝し、勝ち点3に加え得失点差での大きなアドバンテージも獲得した。
 
D奈良としては最後まで枚方攻撃陣の斜めの動きや仕掛けに対応出来ないまま終わってしまった点は反省点であろう。実際枚方のような相手とは相性が良くないとは思われるのだが、相性という言葉で片付けるには痛い大敗となってしまった。枚方からすれば取れる時にきっちり取れた点は好材料。開幕当初と比較して中盤から前線にかけての点を奪いに行く上での約束事は徹底出来てきたように思われるだけに、後期逆転昇格の目も十分に出てきたように感じられる。
 

2016/6/19 関西サッカーリーグ第8節 ディアブロッサ奈良対アイン食品(株)サッカー部

D奈良2-1(1-0)アイン(@五條上野公園)
 
両チームとも縦に速い攻めからチャンスを見出そうとするが、中央から行くアインと外から攻めるD奈良とストロングポイントは対照的。そこでまず大きなチャンスを掴んだのはアイン。ゴール前ヘッドに行こうと飛び込んだところにD奈良DF浦の足が入ってファウルとなり、PKを奪取する。しかしこのPKは左に僅かに外れ先制点には至らない。ここで一瞬気持ちの落ちたアインの状態を見逃さずD奈良は右サイド椿本のクロスから山本が決めて逆に先制を奪う事に成功する。そのまま1-0でD奈良がリードして前半は折り返し。
 
後半に入って一気に出足をかけてくるアインは47分、中央屋や左からゴール前になだれ込み最後は泉がやや遠目からたたき込み1-1に追いつく。これでまたアインに勢いがつくもD奈良も我慢して1-1のまま進む。この均衡を破ったのはD奈良。途中交代で入った岸本が中央でボールを受け、アインDFをドリブルで振り切り値千金の勝ち越しゴールを奪う。このままで終われないアインは残り10分を切って波状攻撃を見せるもゴールは奪えず、最後はロスタイムに金丸が2枚目のイエローを受けて退場となり万事休す。D奈良が厳しい競り合いを制し昇格争いに踏みとどまる貴重な勝ち点3を手にした。
 
全体を通して自分たちのペースを突き通したD奈良と不安定なペースに終始したアインという印象。そう考えれば相手が良い流れの時間帯をしっかりと我慢し、落ちた時間帯にきっちり点を奪えたD奈良の落ち着きと勝負強さが見えた試合と言えよう。逆に言えばアインは良い時間帯と悪い時間帯がはっきりする部分を上手く活かせなかったとも見える。特に最後の攻勢に出た時間帯で退場してしまったシーンなどはその象徴だったのかもしれない。