2016/10/22 全国社会人サッカー選手権大会1回戦 AS. Laranja Kyoto対鈴鹿アンリミテッドFC

鈴鹿2-1(0-0)ラランジャ(@北条スポーツセンター陸上競技場)

 

ラランジャは縦のボールで辻元、磯部を走らせる攻めと美里を軸とした細かいパスでの崩しを混ぜながら鈴鹿ゴール前に迫るも決定機までは作れず。鈴鹿は攻めの中心となる小澤が低い位置からの組み立てとなり、攻めがサイドへの縦の長いボールになってしまい中央で構えるエース北野までボールが収まらない。後半35分過ぎにラランジャはサイドを崩して決定的な場面を作るもゴールを奪えず。ほぼ互角のまま0-0で前半終了。

 

後半先に動いたのは鈴鹿。芦田、堀河と攻撃的な選手を投入し、小澤をトップ下の位置に上げるとサイドからの攻めが中央まで繋がり始める。そして61分、クリアボールを拾った吉川のミドルをラランジャGK辰巳が痛恨のファンブル。そのままボールはネットまで届き鈴鹿が待望の先制点を奪う。しかし、その直後の63分にラランジャも磯部が右サイドから技ありのループを決めてすぐさま同点に。

 

これで息を吹き返したラランジャ、またも試合は互角の展開に。延長戦を意識し始めた76分、エリア内でラランジャ守備陣が鈴鹿の選手を引っ張って倒してしまい痛恨のPK献上。これを鈴鹿の北野が落ち着いて決めて勝ち越しに成功。そのまま2-1で鈴鹿がラランジャを振り切り2回戦に駒を進めた。

 

 ラランジャは持ち前の繋いで相手のマークをずらす攻めは機能していた。またボランチの中尾が復帰して守備も最後の踏ん張りが効くようになったことで鈴鹿と互角に近い勝負は出来た。悔やみ切れないミスでの失点だったが、辰巳のそれまでの好守を顧みれば責めることはできまい。出来ることは出し切った、そう印象に残った敗戦であった。

 

鈴鹿は攻撃の鍵を握る小澤と北野が揃って機能せず、攻め手に欠くところが見られた。それでも鈴鹿は後半選手交代を機に戦術を切り替えるだけの引き出しを持っていた。この部分が両者の地力の差だったのかもしれない。また、鈴鹿は何度か切り替えの遅れからカウンターで裏に抜けられる場面が何度か見られた。ラランジャのFWはテクニカルな選手だったが、これがもう少しスピードに寄ったFWだったらまた結果は違っていたかもしれない。

 

2016/9/25 関西サッカーリーグ最終節 バンディオンセ加古川対アルテリーヴォ和歌山

和歌山5-0(2-0)加古川(@日岡山公園)

 

前半から得点の欲しい和歌山は早めに縦の攻めを見せる。加古川はいつものようにDFラインと2ボランチでブロックを作って迎え撃つが今一つ加古川の寄せが甘い。すると25分、縦一本で抜け出した澤野が待望の先制点を奪う。更に45分、ボランチの寄せが甘くなった所を角島が見逃さずミドルを決め2-0で前半終了。

 

後半も攻める和歌山。53分、セットプレーを中舛が合わせて3-0。続いて61分、白方が高い位置で奪ってそのまま持ち込み4点目。69n分には細川がGKが弾いたこぼれ球を押し込んで5点目。加古川は交代と布陣変更を駆使して守備陣を落ち着かせるも時既に遅し。そのまま5-0で和歌山が勝利。そしてそこから僅かな間を挟んで下鳥羽から入ってきたスコアの結果、僅か1点を凌ぎ切っての関西1部2連覇達成が決まった。

 

この試合も第1試合同様見えない敵との戦いの難しさを感じさせたが、それ以上に気になったのは加古川の崩れ方。特に前半はボランチが実質桶田1枚になり、彼がサイドに引っ張られるとバイタルが無法地帯と化してしまっていた。和歌山2点目の角島のミドルはまさにその桶田が左に釣り出されて生まれたスペースを突かれたものであった。後半多少は持ち直したものの、加古川の持ち味である強固なブロックからのカウンターは最後まで姿を見せる事は無かった。

 

和歌山は加古川の崩れを上手く点に結び付けたのは流石であった。前線の個人技は昨年と大きくは変わらないようには見受けられたが、やや個に寄っている印象も受けた。地決までの時間は短いが集団で崩す形がどこまで詰められるかが11月に笑顔で終わるための鍵に思える。

 

2016/9/25 関西サッカーリーグ最終節 ディアブロッサ奈良対関学クラブ

D奈良5-1(2-0)関学C(@日岡山公園)

 

この日はとにかく得点が欲しいD奈良、トップの山本にボールを預け縦に速い攻めで勝負に出る。それが功を奏したか3分、18分と山本が立て続けにゴールを奪う。更に攻めを続けるもそこからゴールが遠い。前半40分過ぎのPKのチャンスも細川堅が関学C東に止められ追加点とはならず。そのまま2-0で前半は折り返し。

 

後半もD奈良は攻める51分、59分と椿本が立て続けに裏を抜けて点を奪う。関学は65分に下村がイエロー2枚で退くと、66分には左サイド鬼岩のクロスに山本が合わせハットトリックで5-0。しかしここからD奈良は焦りからかラインが伸び逆に関学C中盤のテクニックが活きるスペースを与えてしまう。そして関学Cは71分、右サイドのクロスから三ノ宮が決めて5-1。勝敗は既に決していたが、もう一つの見えない敵と戦うD奈良はなんとか点を奪おうと前にボールを送るもあと1点が奪えない。そして5-1のまま試合終了。D奈良は2位のSt.Andrews's FCまであと1点届かず3位でシーズン終了となった。

 

試合自体はD奈良の地力が上回っていたということで順当な勝利。それよりもこの日は同時に試合している昇格争いの相手という見えない敵との戦いの難しさを実感させられた試合となった。これ以上は今はまだ書けない。

 

2016/9/17 関西サッカーリーグ第13節 ディアブロッサ奈良対岸和田クラブ

D奈良2-1(1-0)岸和田(@御所運動公園)

 

前半は完全にD奈良のペース。トップの山本を起点にしつつ、ボールを支配し岸和田ゴール前に迫っていく。しかしなかなかゴールが奪えず時間が経過していく。それでも45分、カウンターから山本がゴールを決め1ー0とリードして折り返す。

 

後半に入って早々、D奈良はまたも山本が裏を抜けゴールを奪う。これで2-0と試合の流れはD奈良に行ったかに見てた。しかしここから岸和田が反撃。63分右サイドを崩し折り返しに山本がゴールを決めると、勝ち点3を意識したのか動きが鈍いD奈良を押し込んでいく。しかし、最後までゴールは奪えず89分に藤原が2枚目のイエローで退場し万事休す。D奈良が2-1で勝ち点3を死守し、最終戦に昇格の望みを繋げた。

 

ここで負けると残留の目がほぼ消える岸和田、最後まで徳永を中心に運動量を切らさずに戦った点は素晴らしかった。しかし引き分けに持ち込むことも出来なかった最大の要因は、CB陣がD奈良の山本との競り合いに悉く負け高い位置でD奈良にボールを持たせる場面を作らせてしまったこと。最後の藤原の退場も抑えきれなかった結果の警告2枚であった事は否めない。

 

D奈良は高い位置で優位にボールを持てたが、その時間帯にもう少し点が奪えていればもう少し楽に試合を終えられたかもしれない。その点では勝利という結果も少し反省点の残る試合だったであろう。しかしシーズン終盤に入って山本の状態が上がっているのは好材料。彼がボールを収めてから展開する流れが今はしっかりと出来ているのは本当に大きい。

 

2016/9/11 関西サッカーリーグ第12節 ディアブロッサ奈良対St. Andrew's FC

D奈良4ー2(2ー1)Andrew's(@水口陸上)

 

この日はカウンターでのサイドからの攻めが上手く機能したD奈良、まずは6分に右サイド椿本の折り返しに山本が飛び込み先制。更に16分には右サイド中室からのアーリークロスを椿本が頭で合わせ2ー0。すぐさまAndrew'sもセットプレーから最後は渡邊が押し込んで1点差に。このまま終わるかに見えたロスタイム、山本のシュートの跳ね返りを椿本が頭で押し込み3ー1とリードを広げて前半を折り返す。

 

後半もD奈良のカウンターは威力を失わない。65分には左サイドを抜けた新家のクロスに椿本ファーの角度が無いところから見事なダイレクトボレーを決めてハットトリック。Andrew'sは80分に青山のゴールで反撃するもここまで。D奈良が4-2で快勝し昇格戦線に生き残った。

 

この日はD奈良の強かさが目立った。きっちりと2本のラインが組織的に動き、奪ってから一気にテンポを上げ縦に速いボールを送り込みゴール前に迫る。その戦いぶりは完全にAndrew'sを圧倒していた。そして、ここまでゴールに嫌われることの多かった椿本がこの日は大爆発。4点目のダイレクトボレーは是非とも映像で抑えていて欲しかった素晴らしいゴールであった。

 

一方Andrew'sはD奈良の粘り強い守備の前にボールの出し所を失い、守っては弱点のラインコントロールの拙さをD奈良のサイドアタッカーに突かれ失点を重ねた。2点は返したものの内容としては完敗と言える内容であった。

 

2016/7/31 JFLセカンドステージ第7節 FCマルヤス岡崎対ヴァンラーレ八戸

マルヤス1-1(0-0)八戸(@豊橋岩田運動公園球技場)
 
開始早々いきなり八戸は決定的な場面でヘッドを放つもマルヤスGK藤井の好守に阻まれる。更にCKからフリーで打ったシュートもマルヤス守備陣に阻まれ先制のチャンスを逃す。更にマルヤスは新井山を軸とした八戸のテンポの良いボール回しに全くついて行けず決定機を作られる。しかしこれをなんとか凌いだマルヤスは、前線に張るダ・シルヴァと鶴見への縦のボールから組み立てを図る。すると徐々に八戸のテンポに慣れてきたのか、八戸のショートパスを止めて逆にカウンターを繰り出す場面も見られ始め互角の展開に。そのまま0-0で前半を折り返す。
 
後半に入っても主導権をどちらも掴みきれないまま試合は進んだが、68分を境に試合は一気に動き出す。八戸は左CKからニアで成田が合わせ待望の先制点を奪う。マルヤスはレオジーニョを投入し追いつこうとするも直後の71分、安藤がこの日2枚目のイエローを貰い退場。マルヤスは失点に加え1人少ない状況となり追い込まれる事となる。しかしマルヤスはここからダ・シルヴァとレオジーニョの2枚を前線に残し、中盤左サイドを空けるような布陣に変更。左サイドのMFだった地主園をDFラインに下げつつも状況によって前線に送り込むことと、ボランチの田中や前線のレオジーニョが流れる事でこの空間を埋める方策に出る。そしてそれが上手く嵌まったのが80分、左サイドの波状攻撃から最後は田中のクロスにファーで待っていたダ・シルヴァがジャンピングボレーで合わせる驚愕の同点弾でマルヤスは1-1の同点に追いつく。
 
順位を考えるとどうしても勝ち点3が欲しい八戸は、直後の高見から李澤への交代をきっかけに長身の山﨑と佐々木の2人を前線に並べる。狙いはクロスからの一発、その発射台は右サイドバックの市川。マルヤスが空けざるを得なかった八戸右サイドのスペースでフリーになった市川が精度の高いアーリークロスを何度も打ち込み勝ち越し点を狙いに行く。マルヤスは防戦一方になりながらも2トップにボールを供給し虎視眈々とカウンターを狙う。しかし結局両者共に決め手の無いままタイムアップ。見所の多いゲームだったが結果は1-1の引き分けに終わった。
 
マルヤスは何よりもダ・シルヴァの加入が大収穫。前線で寄せられる、ポストもこなす、そして視野の広さとキックの精度が高い。むしろ彼のプレーのテンポにまだ他の選手が対応し切れていない場面が見られたのが課題と思える出来であった。あのシュートは出来すぎという見方もあるが、それだけの能力は秘めているということだろう。この出来をコンスタントに発揮出来ればかなり面白い事になりそうだ。また、10人になってからの選手の頑張りも素晴らしかった。特に左サイドをこれでもかと言わんばかりに上下動を繰り返した地主園の頑張りは特筆もの。また、ボランチの田中と大庭が運動量を切らさずに攻撃の際押し上げていった点も同点ゴールに結びついた大きな要因と思われる。一方で課題は2つ。まずは当然ではあるが、失点直後に軽率に2枚目のイエローを貰ってしまった安藤のプレーが挙げられるだろう。そしてもう1つはセットプレーでのマークの甘さ。失点シーン以外にも八戸の選手にフリーで打たせる場面は再三見られ、ある意味失点があの1回だけで済んで良かったと言えるくらい危険な場面は多かった。
 
八戸についてはまず八戸特有の膝下の高さでボールを繋ぐサッカーが見られた事が嬉しかった。ただ、最後の局面ではチームが入れ替わったのではと思うくらいに遠目のシュートやクロスからのボールが目立ったのが気になった。ゴール前であと一本ショートパスでずらせばシュートコースが開いたのではという場面もあっただけに余計にその思いは強くなったのかもしれない。また、後半終了間際に市川から2トップへのアーリークロスを徹底する方針に切り替えたあたりは、厳しい状況における戦術の引き出しもしっかり持っているのだという印象を受けた。八戸の課題は先述したゴール前での崩しの動きが欲しいという点と、人数の差を全く感じさせる事が出来なかった後半の運動量の落ち込み、特に1ボランチの岡田に対する負担の大きさが挙げられる。運動量に関しては気候の影響を原因と挙げられるかもしれないが、アウェーで暑い地域に行く事は避けられないだけにそれでも克服しないとならない課題であろう。
 

2016/7/18 奈良県選手権準決勝 ディアブロッサ奈良対天理大学サッカー部

D奈良0-4(0-1)天理大(@奈良県フットボールセンター)
 
序盤テクニックで上回るD奈良が両サイドから攻めを見せるも、徐々に天理大が中央の縦のボールから外の裏を狙う形で対抗。そして天理大はギリギリのタイミングで右サイドを抜け出すと、折り返しをファーサイドで合わせて先制点を奪う。すぐに取り返したいD奈良だったが徐々に攻めが繋がらなくなる。更に左サイドの鬼岩がゴール前ヘディングに行こうとしたところを天理大の八倉と交錯し倒れ込み、そのまま負傷交代となるアクシデントも発生。不穏な空気のまま前半は0-1天理大リードでの折り返し。
 
後半に入り天理大は縦の単純な裏狙いに攻めを切り替えるとこれが上手く嵌まり、D奈良GKと守備陣の連携ミスを突いて2-0と広げる。D奈良も縦のボールを放り込み打開を図ろうとするが、逆に天理大のカウンターを受け更に2失点。最終的には4-0で試合終了。天理大が奈良県選手権決勝へと駒を進めた。
 
最後の2失点はトーナメントであるが故に攻めに行った結果とすれば、それまでの2失点を如何に防げたかがD奈良としては課題であろう。特に先制点については微妙なオフサイドの判定ではあったが、そこでDFラインが足を止めてしまった点が痛かった。この点については個人的にも声を出す判断が遅れたという反省があったのだが、そこについては主題とは異なるのでここまでとしておきたい。また、D奈良とすれば先制された時の戦い方の難しさを再認識する試合となったように思われる。この点も今後の昇格争いにおいて鍵を握る課題になるかと感じられた。
 
天理大は前後半で攻め手を切り替えてくるなど戦術の浸透は出来ているチームであると実感出来た点は収穫。個のフィジカルや技術を上げていくことで更にチームとしての質は上がっていけるのではと感じている。