2016/10/23 全国社会人サッカー選手権大会2回戦 アミティエSC京都対東京23FC

アミティエ3ー2(0ー1、2ー1、0-0)東京23(@新居浜市営サッカー場第二グラウンド)

 

 バックラインから前線の飯島や藤田に長いボールを入れて一気に攻める東京23、一方アミティエは左サイドの守屋を起点に地上戦を仕掛け篠原に繋げようとする。先に攻めが実を結んだのは東京23。左サイドのロングボールで抜け出した小山が敵陣深く入って、折り返しに藤田が押し込み先制点を奪う。そこから東京23の圧力にアミティエは押し込まれる。31分、アミティエボランチの前田を清野に交代し、清野をやや高い位置に置き組み立ての起点を増やす。

 

前半はそのまま1-0東京23リードで折り返したものの、徐々にアミティエの攻撃の歯車kが噛み合い始める。すると51分、守屋のエリア内での仕掛けに対し東京23守備陣がハンドでPKを献上。これを篠原が決めて同点に。更に60分、左サイドから崩して最後はゴール前の混戦から勝矢が押し込んで逆転に成功する。

 

東京23はここで斎藤を投入、前線の運動量を強化し前から追い込みつつ、シンプルにゴール前へ放り込んでいくとまた流れは東京23に。そして69分、右サイドから中央へのマイナスのボールを斎藤が叩き込み勝負はまたも振り出しに戻り、2-2のまま延長戦へ。

 

3人の交代枠を使い切った東京23、2人の交代しかしていないものの、試合中負傷したGK岩倉に不安があったのかPK用にGKの交代枠を残してきたアミティエ。双方使える手を切って迎えた延長戦は双方決定機を掴むもゴールまではこじ開けられず。PK戦かと思われた延長後半8分、中央の守屋からここしかないというスルーパスを右サイドに流れてきた吉岡に送ると、エンドラインギリギリまで持ち込んだ吉岡がグラウンダーのクロスを送る。これを合わせたのはエース篠原。劇的なゴールでアミティエが3-2と激闘を制し準々決勝進出を果たした。

 

両チーム出来る限りの手を打ち合い二転三転した好ゲーム。延長線での明暗を分けた勝負の決め手は最後の局面での仕掛けの精度だった。何度もチャンスは作ったがフィニッシュでアミティエ守備陣を振り切れずシュートをコントロール仕切れなかった東京23に対し、アミティエの攻撃は手数は少なかったものの、その一発で東京23の守備陣を完璧に剥がしてみせた。それを演出した守屋のスルーパスは見事の一言。それまでのプレーも含めMOMは間違い無く彼であった。明日は何度も跳ね返されてきた月曜日の壁、今度こそその壁を彼らは超えられるのだろうか。

 

東京23からすれば敗れはしたが悲観する内容では無かったとは思う。昨年盛岡で見たパスをする為だけのサッカーから完全なモデルチェンジを施した訳だが、戦術自体は相応の完成度は見せていたと感じている。気がかりがあるとすればプレスをかけるゾーンを変えるという戦術の切り替えは出来ていたが、攻撃自体の幅はそこまで広くないと感じられた点、ここをあと数週間でどこまで積み上げられるかが最後の鍵となりそうだ。

 

2016/10/22 全国社会人サッカー選手権大会1回戦 エスペランサSC対FC ISE-SHIMA

エスペランサ3-1(1-0)伊勢志摩(@北条スポーツセンター球技場)

 

キックオフからエスペランサは前線が勢い良く突っ掛け高い位置でボールを奪い一気に攻め立てようとする。伊勢志摩はそれを細かいパスとドリブルでかわして、3バックの外を狙おうとするもエスペランサの勢いに押され前にボールが進まない。すると16分、右サイド坂本のグラウンダーのクロスを井上が合わせてエスペランサが先制する。徐々にエスペランサは運動量が落ちてきて伊勢志摩にも流れが傾きつつあったが、終了間際伊勢志摩の西村が抜け出して作った1対1の場面もエスペランサGK鈴木の好セーブに阻まれ得点ならず。1-0で前半終了。

 

伊勢志摩は後半攻撃的な森崎と溝田を投入し勝負に出る。しかし、後半に入り少し息を吹き返したエスペランサはまたも前線から伊勢志摩に襲いかかる。そして54分、グラウンダーのCKを2人がスルーして、最後に中央で受けた古川が撃ち込むトリッキーなセットプレーでエスペランサが追加点を奪う。すぐに伊勢志摩も58分にエスペランサDFの軽率なファウルで手に入れたPKを溝田が決め1点を返すが、返す刀で59分、エスペランサは今部の豪快なロングシュートが決まり再び3-1と点差を2点に突き放す。反撃したい伊勢志摩だったが最後までペースを掴めぬまま試合終了。3-1でエスペランサが歓喜の1回戦突破を決めた。

 

井上を中心に3トップが前線からどんどん仕掛けつつ、全体が押し上げスペースを埋める強気の守備、グラウンダー中心でどんどん選手が追い越していく攻撃。とにかく思い切り良く飛び込んでいく球際での動き。話に聞いてはいたがエスペランサのサッカーが持つ異質感は衝撃的なものであった。勿論どう考えても80分ですら運動量が持たないというのは明白で、実際に時間と共に徐々に失速していくのだが、それすらもこのチームの持ち味として楽しむ事が出来た。このサッカーを見たいと思って北条を選択した自分の選択は間違っていなかった。これから上のカテゴリに挑んでいくに従ってこのサッカーがどう変化していくのだろう。またいつか見てみたい楽しみを持てる、そんなチームであった。

 

伊勢志摩の敗因は幾つか考えられる。彼らの繋いで崩すスタイルは前線から追い込んでくるエスペランサとは相性が悪かったかもしれない。かわして放り込む形を少しでも使えればまた違った結果が見えた可能性もあるだろう。また、流す傾向にあった判定が、良く言えば出足の深い、悪く言えば削る一歩手前なエスペランサの守備には優位に働いたところもあるかもしれない。ただ、そこの部分も含めて勝つための戦術を組み立てていく事が全国で安定して勝つ事に繋がるのだろう。伊勢志摩にとっては高い授業料となってしまったが、これを貴重な財産にして欲しい、そう感じている。

 

 

2016/10/22 全国社会人サッカー選手権大会1回戦 テゲバジャーロ宮崎対FC EASY 02

EASY1-0(1-0)宮崎(@北条スポーツセンター球技場)

 

試合は5分いきなり動く。セットプレーのボールをファーで待っていた小林が折り返し、中央で待っていた松本がヘッドで押し込みEASYが先制点を奪う。両チーム共縦のボールを放り込み合う展開も、決定機の数は変わらず互角の展開。前半終了間際にはEASYがPKを奪うも、これは宮崎GK上野山が防いで追加点を与えない。そのまま1-0、EASYリードで前半終了。

 

後半も縦に早くボールを送り込む宮崎の攻撃に対し、EASYは人数をかけて耐え、切れ味鋭いロングカウンターを突きつける。堪りかねた宮崎は長身のDFジブリンを投入しトップに据えるも、周囲との連携が合わず攻撃はちぐはぐに。そこで71分、キックの精度が高い上田を投入しひたすらゴール前へハイボールを撃ち込む作戦に出る。しかしこれを新居を中心としたEASY守備陣が最後まで耐え抜きタイムアップ。EASYが初めての全国の舞台で大きな勝利を手にした。

 

 先に宮崎について書いておく。2年前に見た時から名前が変わり、選手が変わってもサッカーは変わってはいなかった。ただそれは進歩していないという言葉と同義なのかもしれない。単調な放り込みと連携に乏しいゴール前の攻めは相変わらず実効性を欠いていた。さらに力押しで結果が出てこないと焦り言葉を荒げる選手、ジブリンを投入して前線に置くのは良いが全くそこからどう攻めるかが徹底できていない監督、全てがバラバラ。試合後一緒に観戦していた方は、昨年の地決決勝ラウンドで梅井大輝を前線に送るも具体的な攻撃手段も無く敗れ去った福井を思い出したと指摘していたが、そこについては自分も同感である。何一つ好材料を見つけ出すことも出来ず、宮崎のシーズンはあっさりと幕を閉じる、それは必然の結果に見えた。

 

EASYの狙いは明確だった。しっかりDFラインと中盤でブロックを作り、突破力のある前線が最小人数でカウンターを決める。加古川高砂龍野と繋がる伝統の播州のカウンターはここでも生きていた。そしてこれを遂行出来た功労者としては橘と松本の2人を挙げたい。橘は優れたキープ力でボールを保持することで、宮崎の攻めが連続する状況を消していた。EASY守備陣が最後まで耐え切れたのは、連続攻撃による疲弊が最小限に抑えられたことが大きく影響していたと考える。そして松本の方だが、今日のMOMは間違いなく彼。80分途切れることの無くピッチ内を走り回り好守に貢献。その動きは、彼一人で両チームの運動量のパワーバランスは逆転したと感じるくらいのものであった。また、精神的な幼稚さを露呈した宮崎とは対照的に、しっかりとポイントを押さえた言葉のやり取りを全員が行い、チーム全員で気持ちを乗せていった点も勝利を引き寄せた要因であったのではないかと感じている。

 

 

2016/10/22 全国社会人サッカー選手権大会1回戦 AS. Laranja Kyoto対鈴鹿アンリミテッドFC

鈴鹿2-1(0-0)ラランジャ(@北条スポーツセンター陸上競技場)

 

ラランジャは縦のボールで辻元、磯部を走らせる攻めと美里を軸とした細かいパスでの崩しを混ぜながら鈴鹿ゴール前に迫るも決定機までは作れず。鈴鹿は攻めの中心となる小澤が低い位置からの組み立てとなり、攻めがサイドへの縦の長いボールになってしまい中央で構えるエース北野までボールが収まらない。後半35分過ぎにラランジャはサイドを崩して決定的な場面を作るもゴールを奪えず。ほぼ互角のまま0-0で前半終了。

 

後半先に動いたのは鈴鹿。芦田、堀河と攻撃的な選手を投入し、小澤をトップ下の位置に上げるとサイドからの攻めが中央まで繋がり始める。そして61分、クリアボールを拾った吉川のミドルをラランジャGK辰巳が痛恨のファンブル。そのままボールはネットまで届き鈴鹿が待望の先制点を奪う。しかし、その直後の63分にラランジャも磯部が右サイドから技ありのループを決めてすぐさま同点に。

 

これで息を吹き返したラランジャ、またも試合は互角の展開に。延長戦を意識し始めた76分、エリア内でラランジャ守備陣が鈴鹿の選手を引っ張って倒してしまい痛恨のPK献上。これを鈴鹿の北野が落ち着いて決めて勝ち越しに成功。そのまま2-1で鈴鹿がラランジャを振り切り2回戦に駒を進めた。

 

 ラランジャは持ち前の繋いで相手のマークをずらす攻めは機能していた。またボランチの中尾が復帰して守備も最後の踏ん張りが効くようになったことで鈴鹿と互角に近い勝負は出来た。悔やみ切れないミスでの失点だったが、辰巳のそれまでの好守を顧みれば責めることはできまい。出来ることは出し切った、そう印象に残った敗戦であった。

 

鈴鹿は攻撃の鍵を握る小澤と北野が揃って機能せず、攻め手に欠くところが見られた。それでも鈴鹿は後半選手交代を機に戦術を切り替えるだけの引き出しを持っていた。この部分が両者の地力の差だったのかもしれない。また、鈴鹿は何度か切り替えの遅れからカウンターで裏に抜けられる場面が何度か見られた。ラランジャのFWはテクニカルな選手だったが、これがもう少しスピードに寄ったFWだったらまた結果は違っていたかもしれない。

 

2016/9/25 関西サッカーリーグ最終節 バンディオンセ加古川対アルテリーヴォ和歌山

和歌山5-0(2-0)加古川(@日岡山公園)

 

前半から得点の欲しい和歌山は早めに縦の攻めを見せる。加古川はいつものようにDFラインと2ボランチでブロックを作って迎え撃つが今一つ加古川の寄せが甘い。すると25分、縦一本で抜け出した澤野が待望の先制点を奪う。更に45分、ボランチの寄せが甘くなった所を角島が見逃さずミドルを決め2-0で前半終了。

 

後半も攻める和歌山。53分、セットプレーを中舛が合わせて3-0。続いて61分、白方が高い位置で奪ってそのまま持ち込み4点目。69n分には細川がGKが弾いたこぼれ球を押し込んで5点目。加古川は交代と布陣変更を駆使して守備陣を落ち着かせるも時既に遅し。そのまま5-0で和歌山が勝利。そしてそこから僅かな間を挟んで下鳥羽から入ってきたスコアの結果、僅か1点を凌ぎ切っての関西1部2連覇達成が決まった。

 

この試合も第1試合同様見えない敵との戦いの難しさを感じさせたが、それ以上に気になったのは加古川の崩れ方。特に前半はボランチが実質桶田1枚になり、彼がサイドに引っ張られるとバイタルが無法地帯と化してしまっていた。和歌山2点目の角島のミドルはまさにその桶田が左に釣り出されて生まれたスペースを突かれたものであった。後半多少は持ち直したものの、加古川の持ち味である強固なブロックからのカウンターは最後まで姿を見せる事は無かった。

 

和歌山は加古川の崩れを上手く点に結び付けたのは流石であった。前線の個人技は昨年と大きくは変わらないようには見受けられたが、やや個に寄っている印象も受けた。地決までの時間は短いが集団で崩す形がどこまで詰められるかが11月に笑顔で終わるための鍵に思える。

 

2016/9/25 関西サッカーリーグ最終節 ディアブロッサ奈良対関学クラブ

D奈良5-1(2-0)関学C(@日岡山公園)

 

この日はとにかく得点が欲しいD奈良、トップの山本にボールを預け縦に速い攻めで勝負に出る。それが功を奏したか3分、18分と山本が立て続けにゴールを奪う。更に攻めを続けるもそこからゴールが遠い。前半40分過ぎのPKのチャンスも細川堅が関学C東に止められ追加点とはならず。そのまま2-0で前半は折り返し。

 

後半もD奈良は攻める51分、59分と椿本が立て続けに裏を抜けて点を奪う。関学は65分に下村がイエロー2枚で退くと、66分には左サイド鬼岩のクロスに山本が合わせハットトリックで5-0。しかしここからD奈良は焦りからかラインが伸び逆に関学C中盤のテクニックが活きるスペースを与えてしまう。そして関学Cは71分、右サイドのクロスから三ノ宮が決めて5-1。勝敗は既に決していたが、もう一つの見えない敵と戦うD奈良はなんとか点を奪おうと前にボールを送るもあと1点が奪えない。そして5-1のまま試合終了。D奈良は2位のSt.Andrews's FCまであと1点届かず3位でシーズン終了となった。

 

試合自体はD奈良の地力が上回っていたということで順当な勝利。それよりもこの日は同時に試合している昇格争いの相手という見えない敵との戦いの難しさを実感させられた試合となった。これ以上は今はまだ書けない。

 

2016/9/17 関西サッカーリーグ第13節 ディアブロッサ奈良対岸和田クラブ

D奈良2-1(1-0)岸和田(@御所運動公園)

 

前半は完全にD奈良のペース。トップの山本を起点にしつつ、ボールを支配し岸和田ゴール前に迫っていく。しかしなかなかゴールが奪えず時間が経過していく。それでも45分、カウンターから山本がゴールを決め1ー0とリードして折り返す。

 

後半に入って早々、D奈良はまたも山本が裏を抜けゴールを奪う。これで2-0と試合の流れはD奈良に行ったかに見てた。しかしここから岸和田が反撃。63分右サイドを崩し折り返しに山本がゴールを決めると、勝ち点3を意識したのか動きが鈍いD奈良を押し込んでいく。しかし、最後までゴールは奪えず89分に藤原が2枚目のイエローで退場し万事休す。D奈良が2-1で勝ち点3を死守し、最終戦に昇格の望みを繋げた。

 

ここで負けると残留の目がほぼ消える岸和田、最後まで徳永を中心に運動量を切らさずに戦った点は素晴らしかった。しかし引き分けに持ち込むことも出来なかった最大の要因は、CB陣がD奈良の山本との競り合いに悉く負け高い位置でD奈良にボールを持たせる場面を作らせてしまったこと。最後の藤原の退場も抑えきれなかった結果の警告2枚であった事は否めない。

 

D奈良は高い位置で優位にボールを持てたが、その時間帯にもう少し点が奪えていればもう少し楽に試合を終えられたかもしれない。その点では勝利という結果も少し反省点の残る試合だったであろう。しかしシーズン終盤に入って山本の状態が上がっているのは好材料。彼がボールを収めてから展開する流れが今はしっかりと出来ているのは本当に大きい。